某所コピペ

力尽きても良いですか

まだ小学校に上がる前、近所にクォーターの女の子が住んでて、俺は
その子と良く遊んでた。その時はまだ、遊びに行くとサンタクロースみたいな
アメリカ人のお爺さんがおやつくれたから、それが目当てだった
 
 成長して、彼女と俺の関係が幼馴染じゃなくなった高校一年の冬、本を読む
のが好きだった俺たちは、その日も相変わらず彼女の部屋で本を読んでた。
付き合い始める前と同じ様に、お気に入りを紹介し合って二人で読んでた。
 
 彼女は、俺が原書の方がきっと良いと思って薦めた Flowers for Algernon
 俺は、彼女は原書しか持ってなかったけどお薦めの The Velveteen Rabbit
 小さい頃からのお爺さん仕込みの英語で普通に読み進める彼女と違って、
俺は英語が苦手だったけど、苦労しながら読んだ。彼女の好きな物は、俺も
好きになりたいと思った
 
 彼女が仕掛けたのは、俺が解らない単語の意味を聞いたときだった
 「一分間目を閉じていられたら教えてあげる」
 おかしいと思うべきだった。
 思い返せば、彼女、その日は妙に落ち着きが無かったし、いつも持ってた
ミントのタブレットもやたら消費が早かったし、少し疑うべきだったんだ。
 「スタート…5秒…10秒」
 カウントの声と彼女の息遣いが急に近づいてきて、ようやく少し変だと思い
始めても、それでもきちんと目を閉じてたのは、律儀なのかバカ正直なのか
 「ね、ちょっと…」
 ”何か企んでる?”とか、多分そんなことを言おうとした筈の唇は、柔らかな
感触に塞がれて、結局最後まで言えなかった。
 何かができたわけじゃなく、ただじっと重ねてただけの初めて同士の唇は、
暖かくて、小刻みに震えて、微かにミントの匂いがした
 
 あれから何年か経つけれど、俺の本棚にはあの時の二冊が大事にしまって
ある。俺と彼女と同じ様に、これからだって二冊はずっと一緒だ。

クォーター+幼馴染+原書+ミント+ファーストキス=……