何の気なしに

ユーロ決勝のビデオをふと見返したけど、ポルトガル国民は決勝で負けてもスタジアムから帰って行く人なんてほとんどいなくて、みんな代表の姿を焼き付けているようでした。代表も目を晴らしながらも観客に手を振って。自国の代表が好きで、誇りを持っているんだなと思わせる映像でした。もちろんギリシャも素晴らしかった。敵を蔑む応援ではなく、味方を鼓舞する応援がいいですね。

もしあなたがたが、本当に2008年の北京五輪を成功させたいと願うのであれば、どうかホスト・カントリーとしての寛容さを身につけていただきたい。そして、たとえ重要な試合で祖国が敗れたとしても、グッド・ルーザーとしての立派な振る舞いを学んでいただきたい。スポーツイベントの成功とは、単に自国がより多くのメダルを獲得したり、誇らしげにトロフィーを掲げることだけではない。時として、勝利から得るものよりも、敗れて学ぶことの方が意義深いことだってある。敗戦を抱きしめながら、勝者に拍手を送る経験を経て、人も国家も成熟する。それこそが、スポーツの素晴らしさではないか。
スポーツナビコラム:ホスト国の人々への伝言(宇都宮徹壱さん)